利益を最大化する経営を日々実現しよう
中小企業の経営者は日々、「売り上げがあがらない」、「お客が増えない」、「コストがかかりすぎる」など悩みはつきないことでしょう。
しかし、日々あたりまえのように行っている経営活動が本当に利益獲得に結びついているかを、気にしていることはあまりないのではないでしょうか。実際には忙しさに取り紛れて、「これはもうかる」と思いついたらただ実行して、結果がでようがでなかろうがあまり気にすることがない、ということが多くありませんか。
そのようなことが積み重なることが、なかなか苦しい経営から抜け出せない原因です。実は利益を増やすことは、とても簡単な考え方でできるのです。下図にあるように、利益を増やすためには、①売上/収益を増やすか、②コストを下げるかの2つの方法しかないのです。
そんなことは当たり前だと言われそうですが、わかっていても簡単に実現できないのが世の中の常です。どうやったら、日々の経営活動と利益を結び付け、利益を増やすことができるか説明していきます。
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経営とは、利益獲得を最大化する活動の積み重ね
事業を行う目的は利益獲得なのですから、経営とは何かといえば、「利益獲得を最大化する活動の積み重ね」ということなります。実際に行う活動すべてが、利益を獲得する活動になっているかという目が必要なのです。経営者のみならず、現場の一人ひとり、皆がこの視点をもっている企業は、どんな困難にも立ち向かうことができるはずです。
では、どのように経営活動と利益を紐づけて考えればよいのか具体的に考えてみましょう。
利益獲得を実現する4つの視点
先ほど、利益を増やすためには、①売上/収益を増やすか、②コストを下げるかの2つの方法しかない、と述べましたが、それを4つの視点に分けてみましょう。
- 固定費をダウンさせる
- 粗利率をアップさせる
- 顧客単価をアップさせる
- 顧客数・販売数をアップさせる
まず、固定費を減らせば、利益が増えるのは当然ですね。定常的にコストカットを行うことが重要です。しかし、人件費のように減らすのが難しいものが多いですから、どうしたら固定費を減らすことができるか検討する必要があります。
次に、粗利率を増やすには、大まかにいえば商品原価か販売促進費を減らすことになります。しかし、販促費を減らすと売上そのものが落ちてしまうということもありますので、それでは本末転倒になってしまいます。いかに売上に影響を出さずに粗利率を増やすかを検討する必要があります。
さらに、顧客単価、顧客数・販売数を増やすことですが、これは販売促進活動そのものになります。これについては、”もうかる「しくみ」”として別の記事で説明しています。
経営活動とその効果のつながりの考え方
実際の経営活動を行う場合、利益を増やす4つの視点に紐づけたとしても、その効果の出方はそれぞれ違います。経営活動がどう効果的なのかは3つの指標で考えます。
- 成功確率:利益が増加する確率が高い
- 回収期間:効果が早くでて売上回収が早い
- 回収比率:投資効果が良く売上回収額が大きい
経営活動を何かするとして候補は複数あるはずです。成功確率は、その中で確率が高いものを選ぶ方が良いということです。次の回収期間は、短期に効果がでるのか、それとも効果がでるのに時間がかかるのかということです。最後の回収比率は、結果として売上が小さいのか、それとも大きくなるのかということです。
難しいのは、この3つの評価軸はすべてよいということは、ほとんどなく成功確率と回収期間、回収比率のいずれを重視するかにより選択する経営活動・手段を選択しなくてはならないことです。
実際の経営活動の考え方
個々の経営活動・手段を考えるには、それぞれ個別に考えるのではなく、いくつかを組み合わせて考えていくことになります。具体的には以下のような経営活動を行っていきます。
(固定費以外の)コストをかけずに収益を上げる
固定費(人件費)のみ、つまり販促費や残業手当など新たな追加費用をかけずに、収益を上げることを狙う手段です。リスクは低いですが、効果は限定的で回収比率が低いのが一般的です。
追加コストをかけて収益をそれ以外に上げる
販促費などの追加費用をかけて、それ以上に収益を上げることを狙う手段です。追加費用以上の収益をあげなければ、赤字になってしまいます。コスト回収できないリスクもありますが、回収比率を高く目指すのが一般的です。
収益を落とさずコストを下げる(定常コストカット)
一般的にいわれるコストカットです。原価低減には仕入先との関係がありますし、ロットを増やすなどすれば逆に追加費用がかかることになりますので、一筋縄ではいきません。固定費を減らすといっても減らせる項目などないというのが実情ではないでしょうか。
利益最大化アクション
これまで述べてきた利益を増加するための経営活動に対する取り組みについて、ITPMAでは「利益最大化アクション」と名付けています。日々の経営が、この「利益最大化アクション」に紐づいているか検証する意識づけを行い、ムダ打ちとなる経営活動を見分ける目を養うことで、収益・利益に対する感覚を磨き、利益増加へと結び付けることを勧めています。
「利益を最大化する」ということは、全社員が「利益を獲得するんだ」という意識を持てるかにかかっています。日々の経営活動を見直すことで、ぜひ苦しい経営から抜け出しましょう。